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カトマンズ(400メートル)からわずか45分間で、小型機は一行をシャンボチェ(3833メートル)に運んだ。 一気に2500メートルも上がった結果はどうか。
到着直後にドクターが血圧、肺機能の測定、脈拍、呼吸数を調べた。 血圧230を超える者など要注意者が6人出て、歩行を禁止され、ヤクの背に揺られてホテル・エベレストビュー(M社長)へ向かった。
まだこのとき自覚症状は誰にもなかった。 だが、その夜から翌朝にかけて高山病の症状が現れ始めた。
1人は頭痛、吐き気がして体温38度、食欲はまったくなく、酸素吸入と点滴注射を受けた。 5人は吐き気、発熱、食欲不振などの症状を訴えた。

半数がやられたわけだ。 下界ではなんともなくても、高度の影響で潜在性疾患が出るケースもある。
朝食の食卓についたのは、元気な半数だけだった。 3000メートルを超える高所での低圧、低酸素下での人体に及ぼす影響は個人差が激しく、日本の山のベテランもそのままヒマラヤには通じないことがわかり、逆に山の素人でも高所に強いという体質が見られた。
シャンボチェで丸1日休養して、ホテルからのエベレスト、ローッェ(8501メートル)、アマ・ダブラム(6856メートル)などの素晴らしい眺望を楽しんだ。 次の日、タンボチェ(3875メートル)へトレッキングに向かった。
このときは大事をとって3人がホテルに残った。 4人の山の素人は全員参加することになった。
ドゥド川へ400メートルも下り、橋を渡って急なジグザグ道を、ふたたび400メートルも登るとタンボチェに出る。 約4時間の行程だった。
シャンボチェで酸素吸入と点滴注射を受けた山のベテランは、さすが気力で克服して参加していた。 荘厳なラマ教のタンボチェ僧院の前庭にテントを張ったが、エベレストがさらに近く見えた。

タンボチェで2泊3日過ごした9人のうち、まったく異状が見られなかったのは6人で、2人は軽度の高山病で酸素吸入によって回復した。 残る1人はせきが激しく胸を痛め、顔のむくみもひどくなった。
急性肺炎の疑いで心配された。 一行はせめてペリチェ(43.2メートル)までトレッキングを続ける予定だったが、高度障害の患者が続出したので、タンボチェからシャンボチェに戻り、1泊したのち、カトマンズに飛んだ。
胸を痛めた患者は思ったより病状が悪く、カトマンズの病院に入院したが、2日後にはすっかり回復して退院した。 今回のトレッキング・ツアーで終始異状のなかったのは3人中、紅一点の主婦を含む4人だけ。

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